11、12、13、14、15
会員二名と一気に5本観た。
11、HOSTEL
【感想】
スプラッターだが割とすっきりする映画。欧米人が抱く、エスニックな幻想だとかバックパッカーが抱くパラダイス幻想がコテンパンにされるが、その幻想にもちゃんとしたリアリティを持たせているところが上手い。多言語の障壁、ガイジンへの映画的な偏見など、タランティーノチルドレンっぷりを発揮している。イングロリアス・バスターズにイーライ・ロスが出ることの意味がわかる。
12、グラン・トリノ
【感想】
Mr.アメリカの良心、クリント・イーストウッドの、アメリカを内部から見つめる作品。非常によく出来た映画。とても好き。
ふと思ったのは自動車というモノのアイコンとしてのポリティカルさ。日本とアメリカを考える上でも、自動車から見えるものはあまりにも多い。車から考える映画というのもいいかも。
13、クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲
【感想】
そもそもの動機は「ノスタルジーへの危惧」だろう。問題意識として、あるいは原恵一の経歴からすると自戒も込めて創られたもののような気がする。昭和への、特に三十年代へのノスタルジーに対して。しかし、その意味ではあまりに弱い。ノスタルジーの対立項が「家族」だというのはこの映画の中だけでの話。実際には、20世紀後半から21世紀にかけての日本では、現実に家族は綻んでいき、家族(ないし地域社会)の繋がりが希薄になってきているからこそ「あの時代のほうが良かった」と言われているわけで。おそらく劇中もっとも「大人」がホロっとくるヒロシの回想シーンにしても、お前の大好きな大阪万博に象徴される成長志向こそがいまのこの時代をもたらした、ということを言えていない。あそこで、昭和を否定することだってできたはずだ。要するに、もう一度「夢が見れていた」時代を再現したところで、その夢がもたらすのは今のこの現代なのだと言えよっていう。これからを生きる子どもたちにとってはマジで意味がわからない映画だ。
14、殺人の追憶
【感想】
グラン・トリノを観た後で、ポン・ジュノの韓国への冷静な眼差しに感銘を受けた。もちろんドラマとしても凄まじい出来である。いま気づいたけれど、俺は好きなものに対してあまり多くの言葉を持たない。
15、GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊
【感想】
電脳化・義体化のもとでの人間の定義、それはすなわち人間の定義そのものを問題にする。という大上段に構えたテーマに見合った最高の映像美。