9、攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX Solid State Society

【一言コメント】
TVシリーズ、他の映画版をほとんど観ていないにも関わらず、BSで放映していたため観てしまった。もちろん、攻殻シリーズをまったく知らないわけではない。士郎正宗の原作コミックは読んでるし、だいぶ前よくわかんないが映画版を一本観た。こんな状態でも一応理解できるようには作られていた。

【ちょっとだけ詳しい感想】
難解で高尚だとされる攻殻だが、この映画版でほんとうに難解で高尚なのは、コシキのスタンスだ(だけだ)。死にいくものと生まれてくるものの間にソリッドな再分配を構築する「Solid State」システム。しかしそこにエリート主義的な洗脳を施そうとする馬鹿なファシスト、村上はいらない。エッセンスとなる部分をそぎ落とし、問題提起の核となる部分だけを抽出するとすれば、この部分だろう。だとしたら、シナリオのペース配分がおかしい。ずっと犯人探しをしてきて崖の上で「あなたが犯人ですね」と問い詰めると「実はこんな深い訳が……」という俗流サスペンスと同じ構造だ。要するに、提起する問題の複雑さこそをシナリオに落としこめろよということ。